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ちょっと、 ためになる話。

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先日、桃の恩師、吉田雅夫先生から、中国の桃を詠んだ漢詩を書にして
解説をつけて送って頂いたきました。  紹介します。


       人面桃花(じんめんとうか)
 
                                        中唐 崔護(さいご)作
       
       この詩は、中国唐時代の孟けいの詩物語集「本事詩」に出ています。

  詠み方
去年の今日此の門の中 
人面桃花相映じて紅なり
人面祇だ今何れの処にか去る 
桃花旧に依りて春風に笑む

  意味
去年のきょう、この門の中で、
あの人の顔と桃の花が、互いにひき立て合って美しかった。
あの人は今、いったいどこへ行ってしまったのだろう。
桃の花だけは去年と変わらず、春風にほほえみかけているのに。

  解説
崔護が清明節の折に郊外へ散歩に出、のどが渇いて近くの一軒家で水を求めた。
対応した娘と互いに心を引かれたが、その時はすぐに別れた。
一年後、再び清明節となり、崔護は娘のことを思い出してその家をたずねた。
ところが、門が閉ざされて誰も出てこない。
そこで崔護は、娘のおもかげを偲びつつ扉にこの詩を書きつけた。
数日後、もう一度この家をたずねると、父親が出てきて、
「あなたは私の娘を殺した」と言う。
娘は、昨年以来、ずっと崔護のことを思い続けていたが、
先日、外出から帰ってこの詩を見て、絶食して死んだのだと言う。
崔護は、娘の亡がらを抱きしめて祈り、
「私はここにいますよ」と言った。
すると娘の目があき、半日ほどで生き返った。
父は喜び、娘を崔護にとつがせた。
この話は、芝居にもなり、中国ではよく知られている。 
詩は、素朴な味わいの即興作です。

      

      
桃よう(とうよう)

                                      詩経 巻第一 周南
      
       ようよう・「桃が若々しいさま。」       灼灼(しゃくしゃく)・「花が輝くように美しいさま。」
        之子(このこ)・「嫁ぐ娘をさす。」      室家(しつか)・「夫婦によって作られる家庭」
        有ふん「実が大きいさまを言う。」     しんしん「葉の生い茂るさま。」


  詠み方
桃のようようたる 灼灼たる其の華
この子ここにとつがば 其の室家に宜しからん
桃のようようたる ふんたる其の実(あり)
この子ここにとつがば その室家に宜しからん
桃のようようたる 其の葉しんしんたり
この子ここにとつがば 其の家人に宜しからん

  意味
桃の若々しく、燃え立つように輝き咲き乱れるその花。
この子がお嫁に行ったなら、夫とうまくゆくだろう。
桃の若々しく、大きく実ったその実。
この子がお嫁に行ったなら、夫とうまくゆくだろう。
桃の若々しく、葉の青々と盛んに茂るその葉。
この子がお嫁に行ったなら、家族の人とうまくゆくだろう。

  解説
形式は三章からなり、各章の第一句と第三句のくりかえし、第二句と第四句は、換韻している。
「詩経」の典型的な形式である。
擬態語を多様して、歌いやすいようにしてある。明るい歌である。
古代中国では、婚姻の期を男は二十歳から三十歳まで、女は十五歳から二十歳までとして、
旧暦二月の仲春の節に婚を行うものとされていた。
その季節はちょうど桃の花の咲く頃でもあった。
この詩を中国のある地方で、今なお婚礼の時に歌うということである。

従来、この詩の「興」の解釈は、
桃の花や実や葉を以って、嫁ぎゆく若い娘を象徴するもの、とされていた。
が、実は、この句は、樹木をほめたたえて神をそこに宿らせ、
その福縁にあずかろうとする祈願の際のほめ言葉(呪詞と同質のものなのである。)
この詩の「興」の詞に用いられた桃は、
古来より懐妊や安産に効験がある呪木として信仰されてきた。
したがって、その桃の花をたたえることは、明るく平和な家庭を予祝(そうあってほしいと祈る)
することとなりそれを主意としたのがこの詩である。

漢代の焦延寿の撰になる「易林」には、
「春桃花を生ずれば、季女は家に宜しく、福を受くること多年にした、男は、邦君と為らん。」
と言う詩句が見られます。
これによっても、桃「の呪性」によって福縁がもたらされるという信仰の存在したことが理解されます。
これらの詩や、孫悟空と蟠桃の話のように、
中国では、古来から桃が、人々の暮らしに溶け込んでいたようです。

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